昨年の書店では、「火花」が目立って置かれていましたが、今年に入って目にするのが「嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え」
うちの教室でも、すでに読んでる人、これから買おうとしている人と、ちらほらいました。100万部以上売れているだけあります。
インパクトのある題名です。
心理学や自己啓発本となると、タイトルだけで言い得て妙なものが多く、つい衝動買いしてしまいます。結果、積読になってしまうものも多いのですが、今回は2日間で読み終えました。
読みやすいうえに、とても学ぶところが多かったです。
青年と哲人の対話形式で進みます。しかし禅問答のようにややこしくはありません。
具体的な事例をあげながら、一歩一歩進んでいきます。
読み手は自然に自分の経験を重ねながらアドラー心理学の考え方を理解していくことになります。
ここでネタばらししてしまってはいけないので、内容については読むまでのお楽しみです。肝心な部分には触れないいように気をつけて紹介したいと思います。決して損はない本だったと思います。
本というのは、万華鏡のように、読み手によっても姿が変わるし、読む時期によって、与えられる衝撃も違うものです。
何年も前に読んだ本を読み返したときに、あらためていろいろなことに気づくことも多いですね。小説であれば、素通りしていた文章に、あらためて、感じ入ることもあるかと思います。
いまこの本が世間で受けているということは、大部分の人が、この本を必要とするような、心が疲れた状況にいるのでしょう。
ストレス、人間関係の難しさ、周りをみれば羨ましかったり、自分のほうがマシだと感じたり、しかし充実感を得るにはとても果てしないと感じたりもするかもしれないです。
この本を読むと、きっと、こういうもやもやが一瞬で晴れるのではないでしょうか。
ただ前だけを見て歩いていけばいい。この本が言うような考え方にシフトするだけで、解き放たれ、敵は消え、存在意義も見いだせる。そんな本です。
さらに私に響いたのは「ダンスをするようにいきる」という言葉です。(この意味は本の中。)目標に向かうスタンスを考えされられました。これによって人生を味気ないものにせずにすみそうです。
人間関係や過去に苦しむとき、生き方がむなしくなったとき、ぜひ読んでみてください。胸のつかえはとれ、目の前の景色は変わり、今日一日が充実してくると思います。
アドラー心理学は哲学だといいます。
その哲学を知れば、一瞬で変わることができる、しかし、その真理を理解するまでは、「生きてきた年数の半分が必要だ」と本では言います。
人は自由だと信じて、本書でいう「坂道を転がるような」生き方をし、実はそれに振り回され疲れ切っているのかもしれないです。それを「本当の自由とは、転がる自分をしたから押し上げていくような態度」と説きます。
本を読んでいる間は、自由になれそうになるけれど、実際、日常の思考の癖はなかなか変えられない。だから、この本一冊でも何度も読む価値がありそうです。
続編も発売されました。「幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII」
この装丁、青から赤へと、また書店で目を引きます。
「ノルウェイの森 」が書店に並んでいた時の記憶と少し重なりました。
あの装丁は赤と緑の一色でした。